国際地域看護研究会

2024年08月30日

2024年度第2回定例会を開催いたしました

2024年7月20日(土)、対面およびオンラインにて2024年度第2回定例会を開催いたしました。

今回は2つのテーマについてご発表いただきました。

 

森口育子顧問からは、「インドネシアにおける地域看護コーディネーターの現状」についてご発表いただきました。

森口顧問は兵庫県立大学在籍時に10年間・3期にわたり、インドネシア・南スラウェシ州にて地域看護推進プロジェクトを実施されました。森口顧問はコロナ禍を経て4年ぶりに南スラウェシ州を訪問され、プロジェクト終了10年後の成果をご自身の目で確認されました。

1期では、インドネシアの地域看護関係者が、プライマリヘルスケアを基盤とした日本の地域保健と地域看護の発展過程と現状を学んだ後、同州タカラール県をモデル県として、州内にネットワークを構築していきました。日本からはJICA海外協力隊員や兵庫県立大学の大学院生らが南スラウェシ州にて活動・実習を行いました。モデル県で活動された地域看護関係者・日本人は、現在も地域看護の実践者・教育者等として活躍されています。

2期は、1期を受けてインドネシア国内に地域看護職への期待が高まったことにより始まりました。南スラウェシ州および同州ハサヌディン大学からの要望を受け、兵庫県内にて地域看護コーディネーター育成研修を実施しました。研修員は帰国後に同窓会を結成してネットワークを構築しており、南スラウェシ州はインドネシア保健省から地域看護のモデル州として認められました。

3期では、2期で研修に参加した方々が、自らプロジェクトを持続発展するために、ハサヌディン大学を拠点としたモニタリングや、地域看護コーディネーターの研修を実施しました。

ハサヌディン大学は現在も地域看護の研究・教育を継続しており、地域看護領域には修士課程が新たに設立される予定です。インドネシア保健省は地域看護を重視しており、南スラウェシ州で先駆的に育成してきた地域看護コーディネーターは、さらに注目されています。人材育成には時間を要しますが、多くの意欲ある関係者が集まることで、プロジェクト中や終了後も持続発展することの意義深さを感じる発表でした。

 

スシラパウデル様からは、「コロナ禍における在日ネパール人へのICTを利活用したアウトリーチ」についてご発表いただきました。

コロナ禍においては、ワクチンや治療について在日ネパール人からスシラ様に多くの質問が寄せられ、一人一人に返答することは困難だったため、回答を動画にまとめてSNSにて配信することで、数万人のフォロワーにアプローチされました。

また、在日ネパール人を対象とした調査からは、在日ネパール人医師や看護師が医療機関へのアクセスの一助となることが明らかになりました。

SNSを活用することの可能性や、在日外国人の協力体制の重要性を感じる発表でした。

 

今回は、森口先生と親交のある方をはじめとする大勢の方にご参加いただき、とても賑やかな研究会となりました。

国際地域看護研究会では、看護系教員、実践家、研究者、学部生、大学院生など様々なキャリアの方々にご参加いただいています。

今後の研究会にも、お気軽にご参加ください。