2022年09月04日
第2回定例会「フィールド調査からはじまった、ブータン王国における幸福観と健康増進方法の探索」をテーマに開催いたしました
2022年7月16日に第二回定例会を開催いたしました。
本研究会の会員であり、昨年度、京都大学医学研究科社会健康医学専攻の博士課程を卒業された瀬川裕美さんより、修士課程から博士課程の研究活動の道のりについて「フィールド調査からはじまった、ブータン王国における幸福観と健康増進方法の探索」をテーマにお話しいただきました。
修士課程ではフィールドにてブータン王国におけるNCD(主に生活習慣病)のリスクや幸福観、健康への価値観や行動について探索的質的研究を実施。結果、急激な社会の変化に伴う生活様式の変化によりNCDリスクが高まっているが、保健教育が追いついていない現状があり、NCDに関する情報不足、適切な解決方法を選択できていない。また現状を幸せだと思うという国独自の幸福観(宗教の違いを超えて存在する)により、主観的幸福観などの尺度では健康との関連性を述べることが難しい。NCD予防のための介入として、小中学校からの介入、実践的な保健教育、宗教の権威者との協働、コミュニティ単位での保健教育の実施などが示唆された。また国独自の幸福観への配慮や、包括的実践的介入の必要性も示唆された。
詳細はこちらの論文にまとめています。
その結果を元に、博士課程では参加型介入研究を実施したかったようですが、プロジェクトの中止やコロナウイルスの影響など、紆余曲折あり、最終的にWHOSTEPSで得た政府の2次データを使用してよいと許可をもらい、その分析に焦点をあて以下の2つの論文にまとめています。
文化の違いへの理解や心理的測定についてより深く理解するため、現在は人と社会の未来研究院にて勤務し、健康と幸福をテーマに探索しています。
国際地域看護研究会では、看護系教員、実践家、研究者、学部生、大学院生など様々なキャリアの方々が参加されています。
次回は10月1日(土)の予定です。是非、お気軽にご参加ください。